分業制により起きる情報分断を「スマート葬儀」で解消

【葬儀DX対談】木村聡宏 (株)ワンウォーク代表取締役×白石和也LDT㈱ 代表取締役

※この記事は月刊フューネラルビジネス2023年12月号の掲載内容を元に加筆修正した内容になります。

今回はLDT・白石社長がグループとして「スマート葬儀」を導入し、㈱めもるホールディングス傘下で葬祭事業を手がける㈱ワンウォーク(札幌市東区)の木村聡宏社長と対談。積極的な多角化と出店で躍進を続ける同グループの戦略や「スマート葬儀」を選択した理由などについて語った。

葬儀サービスの深彫りが新会社設立による多角化へ

白石 めもるホールディングスさんは北海道恵庭市を本拠に、道内の広域で、しかも葬祭事業以外にも多角的な 展開をしておられますね。

木村 意図的に多角化していったわけではないのです。葬儀のサービスを深彫りしていったり、本業の関連事業を拡大していこうとしたりして、付帯した事業を広げていったというイメージですね。葬儀時の仕出し料理から発展した飲食業もやっていますし、納骨堂運営や仏壇店の経営といった供養関係、生花部門、4年前からは不動産業もはじめていまして、現在、めもるホールディングスという会社の下に7つの会社があるという状態ですね。普通だと社内の部門・部署にあたるものを当社は分社化して、そこの事業を追究する形でやっています。

白石 必要な事業をしている会社を買収するという手段もあったと思うのですが、自分たちで新規事業を展開していった理由は何でしょうか。

木村 旭川市に事業エリアを拡大するときには地域密着型の専門葬儀社さんと約1年の提携をさせていただいたうえでM&A、という例もあります。決してM&Aに消極的なわけではなく、結果的にそうなりましたね。

白石 経営効率の良い方を選ぶというイメージですね。多角化戦略に進んだきっかけを教えていただけますか。

木村 数年前に、経済産業省が啓発したライフエンディングステージの話があり、ちょうどそのころ、私たちも企業としてどうあるべきか、ということを社内で話し合い、そこで「シニアライフ全体を見ていかなきゃいけないよね」「葬儀だけをしていてはいけないよね」という共通認識が生まれ、葬儀の前後に関わるお仕事をさせていただこうと考えました。4、5年前に会社として宣言させていただきましたが、「これからわれわれはライフエンディング企業としてやっていく」と。葬儀の前にお客様と関わるビジネスもあれば、葬儀が終った後に関わるビジネスもあると。お客様を面で支えていく立ち位置でいまは仕事をしているという感じですね。

白石 この業界で4、5年前とは早いですね。御社が先進的なことにいち早く取り組めた理由は何でしょうか。

木村 どうですかね。葬祭業界とは別のホテルやブライダル業界など、そういった業界外の部分に目を向けていて、何か参考になることがないか勉強させていただいたことはあります。その中で今後のことを考えていくと、5年後10年後、さらにその先を予測すると、葬儀単価は落ちていきますし、葬祭業一本でやっていくのはなかなかむずかしい。葬儀だけに頼らない売上げの幹、会社の方針をつくっていかなければいけない、というのは以前から話していました。たとえば、生花部門であれば葬祭業から発生するお花だけではなく、結婚式や一般小売りといったそれ以外の売上げもふやしていこうと。できるだけ1つだけに依存しないような企業体質をつくっていこうということで動いていました。

今後はリスクを分散させていく店舗をふやせるかがポイント

白石 いまの話の延長線上の話になると思いますが、御社から見て5年10年後の葬祭業界の状況と、打つべき戦略はどういったものを想定されていますか。

木村 おかげさまで当社は施行件数ベースで毎年20%増といった成長曲線で推移し、昨年は年間施行件数約3,500件を数えました。これを支えているのが積極的な出店で、来年もすでに10店舗の出店が決まっています。当社が考える出店の考えですが、この先2、3年内に出店できない葬儀社はかなり厳しいのではないかと思います。別に無理して出店しろというのではありませんが。過疎化が進む地方では特に葬儀社さんはどこも人手不足で後継者不在、物価高の影響で仕入れも上がる状況下で、経営は非常に厳しくなってくると思います。そうなると多店舗展開して、労働生産性を上げたり、大量仕入れによってコストを下げたり、ということができないとどんどん不利になっていくのではないでしょうか。ですから、ここ2、3年でリスクを分散させていく店舗をどれだけもてるかが重要なキーポイントになると思います。

白石 おっしゃるとおりだと思います。いま、伸びているのはできるかぎりのリソースを使って出店している企業が多い。面を取り切るというのが重要で、取り切った面の中でスケールメリットを活かして売上げの最大化とコストの最少化を図るのが生き残るポイントになると私も思っています。

木村 5年前ごろだと思いますが、白石社長がある講演で「どの業界でもいずれ大手数社に絞り込まれていく。ここ数年で葬祭業界も必ずそうなっていく」という話を されていて、まさにその流れがきていると感じます。

白石 そうですよね。この2、3年で各地において生き 残る会社が決まっていき、5年10年後に生き残った会社 がさらに統合されていくようになるのではないかという 気がしています。

木村 そんな5年後10年後になるのではないかと思っているので、経営者としてはそこをきちんと見定めて判断していかなければいけないと考えています。

分業制の中でシームレスに情報をつなぎ未来に遺す「スマート葬儀」

白石 御社のグループでスマート葬儀を導入いただいいるだけでなく、コープ様をはじめ多くの葬儀社様をご紹介いただいていますが、スマート葬儀のどういった点をご評価いただいているのでしょう。

木村 当社において、顧客管理システムは非常に重要です。従来のように、1人の担当者が最初から最後までお客様に付きっきりという専任担当制は、お客様に寄り添うという点では決して悪いことではないのですが、労働生産性の観点では非常に効率が悪い。そこで当社は分業制に踏み切らざるをえなかったのです。しかし、分業するとやはり情報が分断されていく。それは先に言った「お客様を面で支えよう」という当社の方向性とは相いれません。顧客管理システムで可能なかぎりシームレスに情報をつないでいく環境をつくる必要がありました。いくつか他社のシステムも含めて見させて・触らせていただいたなかで、いちばん御社の「スマート葬儀」が使いやすく、未来に記録を遺す機能があるなど、そういった部分が当社の要望にいちばん近いものでしたね。何より、カスタマイズして柔軟に当社が求めるシステムや機能を実現してくれたのはスマート葬儀だけでした。

白石 ありがとうございます。直にエンジニアを抱えて、葬儀社さんの規模感に合わせて求めるものを求める価格帯で提供できる会社はけっこう少ないと思っています。そういったところでお役に立てたのは嬉しいです。今後のスマート葬儀に期待する点などはございますか。

木村 スマート葬儀は顧客管理システムですから、あくまで顧客情報をストックして管理するシステムですよね。当社を含め葬儀社の次のステップというか課題として「ストックした情報をどう活かすか」があると思います。たとえば、ストックした顧客情報から「ある程度の期間、こちらからアポイントを取れていないお客様を自動抽出してAI連携で自動的にメール送信したり、担当者にアラームを鳴らすであったり、そういった営業支援のような機能があると、ストックした情報の活用の可能性が広がると思うんですよね。

白石 なるほど。実はいまスマート葬儀のUI・UXのリニューアルを進めていまして、来年3月くらいまでにさらに使いやすくなったものをお届けできると思います。いまいただいたようなご要望もどんどんおっしゃっていただければ、開発部門と共有して対応していきますのでよろしくお願いします。本日はありがとうございました。

木村 ありがとうございました。

参考URL:めもるHD
https://memoru.co.jp/

◆この記事の監修者プロフィール

LDT株式会社 代表取締役CEO
白石 和也
2014年リベラルマーケティング(株)を創業し、終活関連サービスのオンライン集客で日本最大級のサイトを運営。2020年東証プライム上場の(株)Link-Uに売却。
2016年ドローンパイロット派遣会社を立ち上げ、大手インフラ企業のDXソリューションの開発などに従事、2018年同社をNASDAQ市場へ上場したエアモビリティ開発会社のグループへ売却。
2019年9月当社を創業。