遺品整理・リユース、不動産は高需要今後は空き家マーケットも有望

【葬儀DX対談】竹本泰志 (株)クオーレ代表取締役×白石和也 LDT(株)代表取締役

※この記事は月刊フューネラルビジネス2022年11月号の掲載内容を元に加筆修正した内容になります。

今回は、遺品整理からリユース、不動産までワンストップサービスを提供する(株)クオーレの代表取締役である竹本泰志氏を招き、需要が高まる遺品整理、リユース、不動産に葬祭事業者が取り組む流れやメリットなどについて伺った。

遺品整理からスタートしリユース・不動産部門を拡充

白石 はじめに会社の紹介をお願いします。

竹本 私たちクオーレは2011年3月11日、まさに東日本大震災が起きた日に愛知県で創業しました。

遺品整理・家財整理事業を中心にスタートするなかで、特にお客様から相談が多かった事業を内製化。現在は遺品整理と不動産とリユース、いわゆる買い取りという3つの事業が柱になっています。

愛知を拠点に、まず横浜に出店、その後に埼玉、千葉、それから栃木、静岡、岐阜と展開し、いまでは8拠点、東海から関東の海沿いを網羅したエリアで事業を展開しています。

リユースと不動産はお客様の相談が多かった順に事業化していったので、いま、遺品整理を受注するなかでお客様のニーズが高い付随サービスはこの2つだと思っています。

そして弊社の最大の特徴は、3事業をすべて内製化し、お客様にワンストップで任せていただけることです。

白石 業界でもこの3つを自社展開しているところは少ないですよね。

竹本 そうですね。それぞれ異なった専門分野に経験者を配置するのは負荷が大きいですが、弊社では、たとえばリユース事業では上場企業から経験豊富な人材を採用することで専門性を高めています

3年前からは新卒採用にも注力しており、なかには驚くほど高学歴の優秀な人材が集まっています。研修も数多く実施し、業界内では人材育成にはかなり投資している会社だと自負しています。

将来的には、27年にグロース市場での株式上場を目指し、内部体制やコンプライアンスを強めていっているところです。

白石 クオーレ様の事業と葬祭事業というのは、非常に親和性が高いと思っています。葬儀後、ご遺族はグリーフ状態のまま、短時間でさまざまな意思決定をしていかなければならないことになります。

遺品整理やリユース、不動産などの専門家を自ら探すには手間がかかりますし、選ぶ基準がまずわからないです。一所懸命選んだ末に、もしかしたら悪質な業者かもしれない、そういったリスクがあるなか、ちゃんと葬儀社様が「この会社は大丈夫」という信用のある、しっかりしたクオリティを担保できる提携先を紹介することは、ご遺族にとってもメリットが大きい。

葬儀社様のアフターサービスを拡充するという意味でもメリットがありますし、かつ、提携してもらう遺品整理会社、クオーレさんのような会社からしても案件としてメリットがある、三方良しのような形になると思っています。

ただ、現状としては、葬儀社様がアフターサービスでいろいろな提携先を紹介できているかというと、ほとんどできていないのが現状です。

竹本 そうなんですね。実はいままで葬儀社さんと数多く提携をしてきたのですが、なかなかうまく連携できなかったという思いがあります。弊社としても案件を発生させるところまでのご支援が足りていなかった部分もあったかと思います。

白石 クオーレさんの取組みでいきますと、やはり不用品整理や遺品整理の会社さんというのはそれだけをやっている方たちが多い。

良い悪いではないのですが、「不用品の整理、遺品整理の作業をしに行く」というスタンスの事業者が圧倒的に多く、それ以外のクオリティの担保や、付帯サービスである不動産や相続、ハウスクリーニングの提案などは基本的に行なっていないでしょう。

クオーレさんは、不用品の整理・遺品整理をするなかでお客様の信頼を得られるクオリティを担保したうえで、いろいろと提案ができる、それが強みでしょう。

私も前職で遺品整理などのWeb集客を行なう会社を経営し、そのときの提携先は全国で約500社ありましたが、クオーレさんのようなスタンスの会社は、そのなかでも唯一ではないかなと思っています。

竹本 ありがとうございます。

遺品整理案件の半数は買い取り案件3~5%は不動産案件につながる

白石 クオーレさん全体の事業規模はどれくらいですか。

竹本 整理事業のみの規模でいくと、年商で約14億円、社員数は100人を超えています。件数では、問合せベースで月間6,000件から7,000件。受注率は25〜30%なので、月間1,500件から2,000件くらいの案件をこなしていることになります。

白石 素晴らしいですね。遺品整理案件のみだと何件くらいになりますか。

竹本 「行ってみたら遺品整理案件だった」ということも多いのでカウントがむずかしい部分がありますが、月間で数百件にはなっていると思います。

白石 年間3,000件程度でしょうか。日本でも最大級ではないかと思うのですが。

竹本 他社さんのデータが公表されないので、私たちもどの位置にいるのかあまりわからないのです。とにかく粛々と自分たちの成長だけにフォーカスしてきたので。

白石 なるほど。遺品整理案件で、買い取りにつながるのはどれくらいの比率ですか。

竹本 現状の当社の体制でいくと、遺品整理の現場にはほぼ全件、遺品整理のスタッフとは別に買い取り専門のスタッフが同行して査定をさせてもらっています。40〜50%の確率で貴金属・ブランド品・骨董などの買い取り品があります。

いままでは業界的に「遺品整理と一緒に買い取りもします」だったので、お客様には「本当に大丈夫?」という不安があったと思います。そうしたなかで、「実はこれがあるんだよね」と大事なお品物を出してきてくれることはありえません。

弊社では買い取りのプロフェッショナルが対応する体制を整えているので、お客様は安心されて、大切なものを出していただける、それでこの数字になったのかなと考えています。

白石 それは素晴らしいですね。遺品整理の母数に対して、不動産のほうはいかがですか。

竹本 不動産は査定の依頼でいくと10%前後ですね。受注率が10~20%になるので、月間の受注件数では5~10件くらいです。

白石 遺品整理からの確率で言うと3~5%くらいですね。以前、葬儀のアフターでの不動産を扱うMARKS・花原社長と対談(参照リンク)したのですが、同じような数字が出ていました。

葬儀の後に遺品整理・不動産売買が発生していて、クオーレさんが遺品整理から入って3~5%くらい取れるということは、葬儀社様がおそらくここをスルーしてしまっているのがみえてくるとも言えそうですね。竹本さんは、今後遺品整理・不動産のマーケットはどのようになると思われますか。

竹本 依頼数は確実にふえると思います。

現在、非常に多いのが、地方で価格がつかない物件、空き家になってしまうような物件の依頼です。もちろん、何ともならない物件はお断りするしかないのですが、「タダでもいいから引き取ってくれ」という依頼がこれからどんどんふえていくのだろうなと思っていて、そこに対する方策を何か打たないと、依頼がふえても扱える物件が限られてしまうと考えています。

最近は「売れそうにないけれども、タダだったら引き取ろう」ということをやっていまして。そのままにしておいても多少の固定資産税を取られるだけなのでリスクは少ないですし、不動産業のプロから見ると「それは無理」という物件でも、近くでチラシをまいたりすると反響があり、意外と近所の人が買ってくれるケースが多いです。いまは、空き家に対する何らかの方策を、いろいろ試しながら形にしたいなと思っているところです。

白石 全国展開は考えておられますか。

竹本 いまのところは考えていません。広げることでクオリティが下がってしまうことを懸念しているからです。まずは、現在のエリアでサービス品質を充実させることに集中したいと思います。

葬儀後の遺品整理・不動産は提案するタイミングが重要

白石 遺品整理業界では事業者数やマーケット規模がどれくらいあって、それが今後どうなるか、竹本さんの見解をぜひ伺いたいのですが。

竹本 市場規模は5,000億円以上というデータが出ていますね。事業者数は、個人事業主でやられている方がメインになっていることもあり、私たちも把握ができていません。

ただ、エンディング業界を含めてさまざまな事業者さんが参入してきていますから、これから私たちも厳しくなっていくだろうという感覚は確かにあります。

白石 そのなかで、クオーレさんとしてやっていきたいことはありますか。

竹本 最近、高額な広告を打って、どう成り立っているのか不思議なぐらい安価でやっている事業者さんがあって、「お客様のところでは何が起きているのか」「どこからこの費用が発生しているのか」といった不安・疑問が湧きました。以前から短期間に派手にやって、いつの間にか消えてしまう事業者はあったのですが、そうした事業者を業界として淘汰し、クオリティを上げることをやっていきたいと思っています。

白石 葬儀のアフターとしての遺品整理・買い取りですが、葬儀社が実際獲得できる確率はどれくらいだとお考えですか。

竹本 私たちの場合、四十九日が過ぎたときなど、何かしらの区切りのときにご依頼いただくことが多く、葬儀が終わってすぐではありませんが、弊社の3事業はお客様の声からつくっていったのでニーズが高いことは間違いない。提案していけば必ず案件は発生すると思いますが、割合はどれほどだと思われますか。

白石 データから考えると、遺品整理に関しては葬儀に対して10%程度、買い取りに関しては5%程度が基準になると思っています。提案するタイミングが非常に重要で、不動産・遺品整理だと四十九日後や初盆あたりが多いでしょう。

竹本 四十九日の法要などのタイミングで自然に「何かお困りごとはないですか」と提案することはむずかしいのでしょうか。

白石 むずかしいというより、葬儀社様がそれをやりきれるかどうかで大きく変わってくると思います。おそらく2040〜60年の間にいまと比べて葬祭業で働く人は半分になってしまいます。

そして葬儀件数は1.2倍になりますが、葬儀単価は2割減になる。つまり、今後は葬儀だけをやるのではなくて、葬儀に関する総合サービス業としてビジネスモデル・収益モデルをつくり変えていかないと、事業として継続性がなくなる。そのためにアフターサービスを含め、拡充していくことが必要なのですが、やりきれている事業者はまだ少ないです。

竹本 なるほど。これからは葬儀社様も私たちも他業種との連携をしっかり組んで、モデルをつくり変えないといけないのでしょうね。そのなかで、葬儀社様が遺品整理・買い取りや、不動産会社に求めるものは何なのでしょう。

白石 葬儀社様からすると、やはりツールであったり、トークであったり、このタイミングでこれを言ってほしいなどのノウハウを提供してもらうことでしょう。

たとえば、葬儀社様からの紹介を待つのではなく、遺品整理会社側から「情報をもらえれば遺品整理について全件架電しますよ」というアプローチのほうが刺さるのではないかと思います。

竹本 なるほど。今後はそういったところにも着手していきたいと思います。

遺品整理・買い取りはすべてのご家庭にニーズがあります。ある調査では国内の隠れ資産は約44兆円。買い取りでは売主の想定より平均3倍の価値があったというデータもあります。

ご家庭には思ったより価値のあるものが眠っている。そこに葬儀後のタイミングでアプローチするというのは、確実なチャンスでしょう。

白石 葬儀社さんがそこをやりきるのはたいへんですが、やったほうがいいのは間違いないですね。

竹本 弊社もそこで何か貢献できるように、頑張っていこうと思います。

白石 本日はありがとうございました。

竹本 こちらこそ、ありがとうございました。

参考URL:

株式会社クオーレ

https://cuore-group.com/

◆この記事の監修者プロフィール

LDT株式会社 代表取締役CEO
白石 和也
2014年リベラルマーケティング(株)を創業し、終活関連サービスのオンライン集客で日本最大級のサイトを運営。2020年東証プライム上場の(株)Link-Uに売却。
2016年ドローンパイロット派遣会社を立ち上げ、大手インフラ企業のDXソリューションの開発などに従事、2018年同社をNASDAQ市場へ上場したエアモビリティ開発会社のグループへ売却。
2019年9月当社を創業。