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【全東京葬祭業協同組合連合会×AgeRobotics】東京都内の5単組を束ねる 全東葬連の目的と活動意義 

公開日時:2026/7/29

  • 葬儀社対談

【葬祭関連協会対談】全東京葬祭業協同組合連合会 会長 濵名雅一氏
×AgeRobotics㈱/LDT㈱ 代表取締役CEO 白石和也氏

※この記事は月刊フューネラルビジネス2026年8月号の掲載内容を元に加筆修正した内容になります。

葬祭業界に特化した顧客管理システム「スマート葬儀」の提供を通して葬祭業界のDXを推進するなど、エンディング領域で幅広く事業展開するAgeRobotics㈱。今回は同社代表取締役CEOの白石和也氏が、東葬協をはじめ東京都内の5つの単組で構成され、加盟葬儀社約290社にのぼる全東京葬祭業協同組合連合会(全東葬連)の濵名雅一会長と対談。全東葬連の概要や業界の課題、今後のビジョンなどについて伺った。

■葬儀の小規模・簡素化が進むなか求められる葬儀文化の継承

白石 濵名会長の歩みと、自身の葬儀社㈱オリハラ(東京都墨田区)の代表取締役、また全葬連の副会長、東葬協の理事、そして全東葬連の会長というさまざまな組織を率いるうえでの信念を伺えますでしょうか。

濵名 大学卒業後、好きだった自動車業界で10年近く働きました。時間があるときは家業の葬儀社も手伝っていましたね。葬儀社は母方の祖父が創業したもので、祖父が関東大震災で被災したとき「自分にできることは何かないだろうか」と夥しい数のご遺体を大八車で火葬場に運び続けたというのが創業のきっかけだったと聞いております。伯父が事業を継ぎ、私が三代目になります。
祖父は災害のときだけではなく、日々「自分がどうしたら世の中の役に立てるのだろう」と考えていたといいます。私はこうした考えの延長線上に葬儀社があると思っていたこともあり、祖父の志を引き継ぎ事業継承しました。この志が経営上、組織運営上の信念になっています。

白石 私も経営の道に進んだのは祖父の影響ですから、共感するところがあります。全葬連副会長の立場からみて、葬祭業界が直面している問題は何でしょうか。

濵名 まず、高齢・多死社会になるにつれ葬儀規模の縮小化が進み、事業の売上げを上げることが非常にむずかしくなっていることがいちばんの課題だと思います。

次に、異業種からの参入が顕著ですね。新規参入の方々はわれわれがいままで思っていた業界の「当たり前」ではない戦略を展開しますから、葬儀の多様化が進む一方、葬儀は文化ですから、やはりどうしても変えてはならないものもある。ですから、その部分はしっかり踏襲ながら変えていくべきではないかと思います。

白石 葬儀は文化というところに共感します。私も父と祖父の葬儀を営んだとき、多くの参列者に見送っていただきました。そのとき、こうした文化は非常に大切で、そこに興味を抱いたのがこの業界に参入したきっかけです。

当社は、葬祭事業者向けに業務効率化を可能とする顧客管理システム「スマート葬儀」、AIで遺影写真を1分で作成できるシステム「スマート遺影写真」、葬儀業界専門の転職・求人・人材紹介サービス「スマート葬儀ジョブ」などを提供しております。AIを用いたコールセンターサービスも開発を予定しています。葬儀文化を守りつつ、効率よく人が少ないなかでも継続していけるような支援をしたいと考えています。

■社会になくてはならないインフラである葬祭業の国や行政との連携目指して

白石 会長を務める全東葬連について教えてください。

濵名 前身の全東京葬祭業連合会は、「東京都葬祭業協同組合」「山手葬祭協同組合」「東都聖典協同組合」「東京多摩葬祭業協同組合」の4つの単組からなる組織で、1977年から活動を開始しました。ただ、私が会長に就任した十数年前の時点では、東京都全体としての活動がほとんどできていませんでした。同じ方向を向きながら1つの組織として進むべきと強く思い、2006年に設立された「八王子市葬祭業協同組合」にも参画していただき、5単組で活動しています。その後、23年に全東京葬祭業協同組合連合会に名称変更していまに至っています。

葬祭業は社会になくてはならないインフラで、国や行政との連携は必要です。そのためには、われわれは声を大にして意見を申し上げなければなりませんが、それは個々の小さな葬儀屋では不可能。組合員の声を束ねて発信していくことは、全東葬連の大きな目的の1つです。

「葬儀社は単に故人を送るのが仕事」と話す人がいますが、私は送った方の故人への強い思いを立ち切ってあげることが葬儀社の最大の仕事であり、送った方の社会復帰のための役割を果たせなければなりません。組合員には、そこにたどり着いていただきたいと思います。

白石 葬祭業はインフラとして葬儀文化を重んじつつ、効率化や人材確保のために取り組むべき「葬儀DX」等の戦略的課題があると思います。

濵名 葬祭業界は人材不足が深刻であるため、人材活用がうまくできていません。特に閑散期の人材活用について、ほかの業態(事業所)との連携や、貴社が運営する人材紹介プラットフォームを活用するなどしてうまくできないかと考えています。人材活用ができれば職場環境の改善につながり、人が集まりやすくなるでしょう。そのためにも、DXによる効率化の仕組みを貴社のようなDXを得意とする会社と連携できるとありがたいですね。

次に、いま「墨田」「良心的な葬儀社」などとネットで検索した場合、最初に出てくるのは葬儀社仲介サイトです。これが本当に消費者にとって有益なのか不安と疑問を抱きます。仲介サイトが悪いという話ではなく、全国同じ価格で施行できるというのが問題です。たとえば、旅行業でも検索時に仲介サイトが出てきますが、各々のホテル・旅館の価格が違うのは当たり前で、顧客が選択できる自由がある。葬儀社仲介サイトにはその自由がない。この問題については、全葬連・東葬協・全東葬連といった組織として対応する必要性を感じています。

そもそも、届出・許可なしに葬祭業ができるのが非常に問題です。所管であるにもかかわらず経済産業省では全国にいくつ葬儀社があるかを把握していない。コロナ禍では厚生労働省が感染対策ガイドラインを発出しても、すべての葬儀社が把握しているか不明ということも起きました。これも組織として国に解決を求めていきます。

白石 葬祭業はインフラとして葬儀文化を重んじつつ、効率化や人材確保のために取り組むべき「葬儀DX」等の戦略的課題があると思います。

■本業にとらわれず周辺領域に視野を広げる可能性

濵名 やはり、「多死社会」「就労人口減少」のなかで収益をどう上げていくかが求められます。少子化で兄弟姉妹が少ないわけですから1世帯の収入で夫妻双方の父母の葬儀をやらなければならない。今後、葬儀価格はさらに下がっていきますから、結局、周辺事業をもっと拡大していくしかないでしょう。葬儀が終わるまでにご遺族と信頼関係を築けていることは葬儀社の財産です。従来の収益源であった法事や仏壇、お墓にとどまらず、相続や不動産処分といった領域まで視野を広げていく必要があります。将来的には、葬儀本体よりも周辺領域のほうが葬儀社の主たる収入源になるのではないでしょうか。

白石 私も葬儀だけではなく、周辺サービスを含めた終活に関する総合サービス業としての事業モデルに組み替えていかないと生き残れないと考えています。そのような状況下で、当社のようなIT企業や人材紹介事業者に期待することはありますか。また、全国の葬儀従事者へのメッセージがありましたらお聞かせください。

濵名 先ほどお話しされたAIコールセンターの話ですが、コールセンターの夜間対応をAIができるということになれば、必然的に昼間の事前相談も対応できるということです。そうなれば業務負担が著しく軽減できると思います。業務を軽減して人を減らすという意味ではなく、働く人に時間をつくってあげられる。それこそ週休3日も夢ではないと期待しています。今後、葬祭業界においてもAIを活用したさまざまな製品やサービスが生まれると思いますが、葬儀社のリアルな声を、どうしたら葬儀サービスに役立てられるかと考えつつ、技術開発をしていただけると非常にありがたいと思います。

葬儀従事者へのメッセージですが、葬儀社と聞いただけで避けて通るような風潮が若い方にはあると思います。だからこそ、「葬儀は魅力ある仕事」だという情報発信を今後も絶え間なく行なっていく必要があります。葬儀は人間である以上必ず起こり得ること、決してなくならない事業です。それぞれのご遺族・ご会葬者が、心から納得できるようなお別れをどうしたら実現できるかがわれわれの最大のミッション。かつて宗教家がやっていたことを葬儀社がやらなければならない時代ですから、一緒に考えていきたいと思います。

白石 当社も、ぜひお役に立てる存在であり続けたいと思っておりますので、末永いおつきあいをお願いいたします。本日はありがとうございました。


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