公開日時:2026/2/26
葬儀社対談
DX
古都・奈良の大和郡山市を中心に、長きにわたり地域に根ざした葬儀を提供し続ける株式会社三公社。同社が運営する「家族葬の花水木会館」は、その丁寧な対応で厚い信頼を得ている。そんな伝統ある同社が今、クラウド型葬儀管理システム「スマート葬儀」を駆使し、月間50〜60件もの請求業務をデジタル化するという大きな変革を遂げた。導入のきっかけは「事業再構築補助金」というタイミングだったが、そこには「変化の激しい時代を生き残り、確かな証(あかし)を残す」という中西氏の静かなる闘志があった。アナログからデジタルへの転換を、たった一人で推進したそのリーダーシップと、現場にもたらされた「本質的な変化」について、LDTの小池・畑原が三公社中西様にお話を伺った。
「補助金」はあくまで好機。狙いは事業継続のための基盤強化
小池: 本日はお忙しい中、ありがとうございます。毎月の利用データを拝見しておりますが、コンスタントに月間50〜60件もの請求書を作成されており、繁忙期でもシステムが非常に安定して稼働していることに、我々開発チーム一同、身が引き締まる思いです。まず単刀直入にお伺いしたいのですが、奈良・大和郡山エリアで長年「心に残るお葬式」を提供され、確固たる信頼を築かれている貴社が、今回あえてクラウド型の「スマート葬儀」導入に踏み切られた、その経営的な「決断の背景」には何があったのでしょうか?
中西様(三公社、以下中西): 包み隠さず申し上げれば、最初のきっかけは「事業再構築補助金」の活用でした。コロナ禍という先が見えない状況下で、国からの支援をどう自社の投資に繋げるかを考えた際、以前から話を聞いていたクラウドシステムの導入が選択肢に挙がったのです 。 もちろん、地元のソフトウェア会社という選択肢や、他社のオンプレミス型システムもありました。しかし、「スマート葬儀」はすでに他社での導入実績があり、これからの時代に合った管理ができると判断しました 。
小池: きっかけは補助金というタイミングだったとしても、結果として顧客管理や請求業務のデジタル化が、今の貴社の基盤になっているわけですね。
中西: そうですね。正直、補助金が通らなかったとしても、月額利用料で使うつもりではありました。導入してからは顧客管理が非常に楽になりましたし、以前の紙ベースでの管理とは雲泥の差です。結果として、あのタイミングでの決断は間違っていなかったと感じています 。
「すべて自分でやる」。退路を断ったトップダウンの決断
小池: システム導入において、多くの企業が「現場の抵抗」や「ハレーション」に直面します。所謂、新しいやり方に対するアレルギー反応ですね。しかし貴社の場合、非常にスムーズに定着しているように見受けられます。社内での調整はどのようにされたのでしょうか?
中西: 社内調整というよりも、導入に関しては「すべて私一人」で進めました。担当者を置いて任せるのではなく、私がまずシステムを理解し「これを使う」と決めて現場に落とし込みました 。 トップが自ら「やるぞ」と旗を振り、新しいフローを標準にしたことで、現場も「使うしかない」という状況になります。結果として、「使いにくい」といった不満が出る隙もなく、自然と定着していきました 。
畑原: これが成功の最大の秘訣ですよね。中西様ご自身がシステムの仕様を深く理解してくださっているので、私たちサポートチームとしても非常に連携が取りやすかったです。トップの方がここまでフルコミットしてくださるケースは稀有であり、それが早期定着の要因だと確信しています 。
関連会社の売上も一元管理。システムを「経営のコックピット」に
小池: データを分析していて興味深いのが、顧客登録数よりも「請求書作成数」の方が多い月がある点です。これはどのような活用をされているのでしょうか?
中西: 当社では、生花や供物などを扱う別会社も運営しているのですが、それらの請求書発行もすべて「スマート葬儀」上で行っています 。 1つの葬儀案件に対して、葬儀本体の請求だけでなく、お花や追加の物品など、複数の請求が発生します。これらをシステム上で一元管理することで、どの案件でどれだけの売上が立っているか、漏れなく把握できるようにしています 。
小池: なるほど。単なる葬儀施行の管理だけでなく、グループ全体の「お金の流れ」を可視化するツールとしても活用頂いているわけですね。これは非常に高度な、いわばお手本のような活用事例です 。
「記憶」から「記録」へ。リピーター対応の質が変わった
小池: 導入後、現場の業務負担や心理的な変化についてはいかがでしょうか?
中西: 一番大きいのは、リピーターのお客様情報の検索性です。 以前は「あのお客様、いつだったかな」と過去の紙ファイルや台帳をひっくり返して探していました 。今は検索一つですぐに過去の履歴が出てきます。また、請求書作成においても、システムが自動計算してくれるため「計算ミスがないか」という不安から解放されました 。 「ミスがない」という前提で業務ができる安心感は、精神的にも大きいですね。
畑原:中西様は、見積もりから請求書作成まで、システムの流れに沿って正確に入力してくださっています。だからこそ、検索やデータ活用が生きてくる。まさに「正しく使うことで、正しく楽になる」を体現していらっしゃいます 。
時代を生き抜き、確かな「爪痕」を残すために
小池: 最後に、今後の展望をお聞かせください。地域一番店として、どのような未来を描いていますか?
中西: 綺麗な言葉で「地域活性化」などと言うつもりはありません。私の根底にあるのは、この厳しい時代において「自社がいかに生き残るか」という現実的な視点です 。 しかし、それは自分勝手という意味ではありません。私が経営者として退く時までに、この会社が確かにここに存在し、地域で役割を果たしたという「爪痕(つめあと)」を残したい 。 そのために、不動産活用も含めた事業の多角化や、強固な経営基盤の構築が必要です。スマート葬儀は、そのための武器の一つだと捉えています 。
小池: 「爪痕を残す」。その言葉に、経営者としての強い覚悟を感じました 。 システムはあくまで道具ですが、中西様のような強い意志を持った経営者に使いこなしていただくことで、その真価を発揮します。 我々も「チーム三公社」の一員として、その爪痕を深く、確かなものにするお手伝いを全力でさせていただきます。本日は貴重なお話をありがとうございました 。
小池:「私たちは、三公社様の『社内システム部』のような存在でありたいと考えています。システムは導入して終わりではなく、使い続けていただく中でこそ価値が生まれます。『丸投げして頼ってほしい』とお伝えしたのは、単なるベンダーではなく、同じチームとして中西様の『爪痕』を残す挑戦を支えたいからです。今後も経営視点での伴走をお約束します」
畑原:「中西様がシステムを『お手本』のように使いこなしてくださっていること、担当として本当に嬉しく思います。導入当初の混乱を乗り越え、今では『二人三脚』と言っていただける関係になれたことに感謝しています。これからも現場の皆様が安心して業務に集中できるよう、全力でサポートさせていただきます!」

項目 | 内容 |
会社名 | 株式会社 三公社(Sankousha Co., Ltd.) |
所在地 | 奈良県大和郡山市 |
事業内容 | 葬儀施行全般、仏壇・仏具販売、生花販売 等 |
運営施設 | 家族葬の花水木会館 |
URL | |
導入システム | クラウド型葬儀管理システム「スマート葬儀」 |
インタビュー中、中西様から飛び出した「爪痕を残したい」という言葉が強烈な印象を残しました。「地域貢献」という耳障りの良い言葉よりも、「生き残る」「証を刻む」というリアリズムにこそ、経営者の本音が宿ります。淡々と、しかし熱く語るその姿勢は、DXというデジタルな話題の中に、泥臭くも力強い「商売人」の矜持を感じさせるものでした。「全部自分でやった」と笑う中西様ですが、その背中には、変化を恐れず退路を断って進むリーダーの覚悟が見えました。デジタル化の成功事例としてだけでなく、事業承継や経営改革のヒントが詰まったインタビューとなりました。
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