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特殊修復のプロフェッショナルがコア業務を支えるためデジタル化に着手

公開日時:2025/10/21

    【業務デジタル化対談】染谷幸宏氏[㈲統美 代表取締役]× 白石和也[LDT㈱ 代表取締役CEO]

    ※この記事は月刊フューネラルビジネス2025年7月号の掲載内容を元に加筆修正した内容になります。

    葬祭業界に特化した顧客管理システム「スマート葬儀」の提供を軸に葬祭業界のデジタル化・システム化に貢献するLDT㈱は、エンディング領域で幅広く事業展開を続けている。

    今回はLDTの白石和也が、東京都足立区を本拠に、湯灌・納棺や特殊修復を専門としている㈲統美・代表取締役の染谷幸宏氏と対談。デジタル化・システム化を含めた統美の現状、リアルな課題、今後の展望などについて伺った。

    メディア露出に長けた特殊修復を手がける専門集団

    白石 貴社の概要をお伺いできますか。

    染谷 当社は、湯灌・納棺を専門とする会社として1999年12月に東京都足立区で創業し、今期で26期目となります。現在、年間約1万5,000件を取り扱っています。創業当初は特殊修復ではなく、一般的な湯灌やメイク、そして納棺を主な業務としていました。そうしたなか、徐々に当社の認知が広まって施行がふえていくと、お顔やお身体の損傷が激しいご遺体を施行する機会がめぐってきます。そのようなときに、「何とか生前の姿に近づけてほしい」というご遺族の要望を叶えるため、どのような状態のご遺体でも諦めずに修復したことが、特殊修復という業務につながりました。

    白石 年間1万5,000件というと、業界トップクラスだと思います。業務依頼はご遺族から直接受けることが多いのですか。

    染谷 いえ、ほぼ葬儀社さん経由です。ただ、特殊修復については年2、3件ですが、ご遺族から直接問合せをいただくこともあります。

    白石 貴社は積極的にメディア露出をしている印象がありますが、どのような戦略をとられていますか。

    染谷 積極的にメディアへ露出することで、統美という会社名が一般の方にも浸透し、社会的な認知も高められます。さらに、メディア露出はリクルートにも役立ちます。メディア露出は、信用・安心できる会社として認知してもらうのに有効だと思います。実際、今年度は新入社員が4人入社、すでに来年度の求人にも5人の応募が来ています。

    白石 貴社は高い技術をもつプロフェッショナルな納棺師が揃う会社として業界でも注目を集めていますが、リクルートもうまくいっていますね。先日も、LDTが提供する葬祭業界に特化した求人・人材紹介サービス「スマート葬儀ジョブ」において、貴社に入社を希望する納棺師志望者から問合せがあったと担当から聞いております。貴社の採用への取組みや採用を強化する理由について、教えてください。

    染谷 採用を意識して強化しはじめたのは4年前です。当時、複数のシンクタンク会社が「今後は人材確保がむずかしくなる」といった予測を出すなか、当社では5人入社して5人が退職するといった悪循環が何年か続き、危機感を抱いたのです。そのようなときに採用代行・コンサルティングが専門の会社と出会い、新卒採用に関してはほぼ一任しました。

    一方、社内では並行してホームページのリニューアルに着手し、新たにマーケティング事業部と採用専任のスタッフを置く人事部の創設といった改革も進めました。どれか1つの改革で採用力が高まるわけではなく、さまざまな取組みをしていくなかで、「どうすれば離職率を低下させられるか」「どうしたら応募者がふえるのか」について考え続けたことが、一定の成果につながったのだと思います。現状では、出版物やSNSよりもホームページからの応募・問合せが多くなっています。 当社は、「統美に入社したら、自身の能力が発揮でき、会社のために役に立てる」と思っていただけるように情報発信を続けていますが、それが実になるかどうかはまだわかりません。当社ができることは、できる限り自社の情報を発信することに尽きると考えています。

    アナログな現場を支えるデジタル化・システム化の推進

    白石 貴社は非常に多岐にわたる業務を展開されていますが、アイデア出しは誰が行なっているのでしょうか。染谷社長のお人柄から察すると、得意とする納棺や特殊修復といった現場の実務については染谷社長が担い、それ以外は得意とされる方にいい意味で委任されている印象です。

    染谷 自分が得意でないことは、自分よりできる人に任せたほうがいいと常に思っています。ですから、私自身の技術はすべて、スタッフに洗いざらい教え、それをリニューアル・アップデートして今後に活かしてくれればいいと思っています。情報発信においてもマーケティング事業部にいろいろと投げかけることはありますが、それを形にしているのは自分ではなく事業部のスタッフです。発信についても事業部スタッフのほうが長けています。お客様が当社をどのように評価し、喜んでいただけるか、というところをいちばんの指標としています。

    白石 積極的に業務に取り組む人材を集め、その人材が自発的に動いてよりよい会社になっているのでしょうね。今回の対談をするに至った経緯は弊社主催のNFL(ネクストフューネラルラボ)へのご参加とシステムのご相談がきっかけですが、どのような経緯でデジタル化を進められましたか。

    染谷 働き方改革への対応がきっかけです。当社は朝から晩まで依頼があればいつでも出かけられるようにスタッフ体制を整えていますが、依頼先での業務を終えて帰社後にやらなければならない作業をなるべく少なくしたかった、というのがシステム化に着手した動機です。そのため、単なるソフトやハードの導入ではなく、オフィスにも人を確保し、業務部のフォローアップがしっかりできるような職場体制をつくり、システム化に臨んでいます。現在、業務スタッフが20人程度に対して事務スタッフは10人程度、うち1人がオフィス責任者、2人が入力専門スタッフ、2人が環境面などを担当するクリーンスタッフです。業務スタッフが現場に集中できるよう、社内体制を整備することが大切だと思います。

    白石 社内でのデジタル化・システム化に取り組む際は、さまざまな業務を「コアな業務で自分たちがリソースを割いてやるべきもの」「そもそも業務として自分たちがやらなくていいもの」「やる必要はあるが、デジタル化・システム化で効率化できるもの」「やる必要はあるが外注化できるもの」に仕分ける必要があるのですが、貴社はその切分けがしっかりできているように思います。デジタル化・システム化は、染谷社長が「コアな現場に集中できる体制づくり」とおっしゃるとおり、コアな業務、アナログな業務を支えるためのものです。ご遺体の修復では、納棺のときの見た目や所作、そういったアナログな部分こそがお客様の感動を呼び起こすのであり、そこに貴社のような専門技術をもつプロフェッショナル企業の価値を見出せるのではないでしょうか。

    染谷 葬祭業ではアナログの部分が非常に大切です。人にできることは限られているけれども、人にしかできないことはたくさんある。「そうした部分にいかに時間を使えるか」というのは当社の大きなテーマで、その時間をつくるためにデジタル化・システム化は必要だと思っています。

    白石 最後に、今後の展望をお聞かせください。

    染谷 いまの葬祭業界を当社なりにみてみると、「最後のお別れをもっと大事にしてほしい」と思います。お別れをしっかりとするには、最後に見る故人のお顔はやはり重要な要素です。お別れのときは、ご遺族の想い出に残るお顔、皆さんにお別れを告げるお顔はきれいでないといけない。故人様の尊厳はそこにあると思っておりますので、葬儀社の皆様にも考えていただきたく、今後もはたらきかけていきたいと思っています。

    白石 染谷社長の思いがしっかり理解できました。本日はありがとうございました。

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