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1施行1担当制を支える「スマート葬儀」 顧客管理機能がリピーター確保に貢献 

公開日時:2025/12/23

    【システム導入事例対談】宮地瑞樹氏[㈱雅典礼 取締役] × 白石和也氏[LDT㈱ 代表取締役CEO]

    ※この記事は月刊フューネラルビジネス2026年1月号の掲載内容を元に加筆修正した内容になります。


    LDT㈱は、葬祭業界に特化した顧客管理システム「スマート葬儀」を通して葬祭業界のDXを推進するなどエンディング領域で幅広く事業展開している。今回はLDT白石CEOが㈱日本典礼のグループ会社で東京都八王子市を拠点に年間約600件を施行する㈱雅典礼・取締役の宮地瑞樹氏と対談。「スマート葬儀」導入後の効果・手ごたえ、同社の課題や今後の展望などについて伺った。

    1施行1担当制で施行クオリティを維持  従業員の負担軽減が課題

    白石 創業の経緯などについてお伺いできますか。

    宮地 当社は東京都足立区に本社をおく㈱日本典礼のグループ会社として、2010年8月、八王子市に設立しました。八王子市を拠点としたのは、創業者で現社長の父が、創業前に勤務していた葬儀社で八王子市周辺の会館開発に携わっており、地域事情に精通していたこと、多摩地区の中心で市場が大きいこと、葬儀への意識が比較的高く、葬儀についてしっかり考えている住民が多い地域だったこと、と聞いています。

    白石 貴社は会館をもたないと伺っていますが、他社との差別化をどのようにお考えですか。

    宮地 基本的には公営の火葬場で施行しています。施行の日程調整がむずかしいというデメリットがある反面、コストがあまりかからないというメリットがあります。

     この低コストは当社の売りの1つですが、いちばんの差別化は施行クオリティだと思っています。当社では、打合せから施行、アフターまで同じ担当者が葬家に寄り添う1施行1担当制を採用しています。ただ葬儀を施行するだけではなく、葬儀費用に見合った葬儀を施行することで顧客満足度を高め、ご遺族に「この葬儀社を選んでよかった」と思っていただくためにも、担当者1人ひとりのスキルアップ能力を重視しています。もちろん、葬祭ディレクター資格も大切ですが、当社では施行担当者に(一社)日本グリーフケア協会®が運営する資格制度「グリーフケアアドバイザー®」の最高位である「特級」の認定をもった社員が、月1回全社員に対してグリーフケア講習を行なっています。グリーフケアに関しては、すでに熱心に取り組んでいる葬儀社さんもありますが、まだまだ十分とはいえず、業界全体が一丸となって考えていかなければならない分野。そうした意味では、他社にはない強みがあると自負しております。

    白石 そうした日々の業務のなかで、みえてきた課題や悩みごとは何かありますか。

    宮地 現場をよく見ていると、当社の施行クオリティを支えている1施行1担当制がデメリットになるときもあります。現状、月の施行件数は50件程度、当社の従業員は6~7人ですから、平均すると1か月で1人の担当者が8件程度を回している計算となり、担当者の負担は小さくありません。そのため、どうしたら現場の負担を減らせるかが常に課題になっていました。

     いちばんの悩みは、24時間365日対応です。現状、当社の従業員が夜間の電話対応をしていますが、深夜に「お花の種類をどうすればいいですか」といった緊急性が高くない電話に応対することもあります。もちろんそのような電話にも真摯に対応しますが、働き方としての効率は悪い。だからといって、コールセンターに外注すればクオリティの担保に不安が残り、むずかしい問題です。

     もう1点は、若い人材の確保です。若い人材は吸収力があり、仕事において「我」がありません。経験豊富なベテラン社員のよさは活かしつつ、若い人材を起用して軌道に乗せたいと考えていますが、先ほど話した夜間の電話対応など、労働時間や環境を改善しなければ若い人材の採用はむずかしく、常に頭を悩ませています。

    白石 確かに、夜間業務をなくすだけで採用がしやすくなりますから、コールセンターを外注している葬儀社はふえていますね。実は、当社ではAIを活用したコールセンターを他社と共同で開発中です。実装に向けて、より人間らしく自然に応対できるよう検証を繰り返しながら開発を進めています。

    宮地 AIコールセンター、非常に興味深いです。当社はまだコールセンターの外注化には踏み切れていませんが、専門学校からの新卒採用を強化しようと思っています。

    白石 葬祭業界に特化した専門学校はすでに多くの競合がアプローチしているので、一般の学校がいいかもしれません。当社で展開する人材プラットフォーム「スマート葬儀ジョブ」には月に1,000人弱の求職者が登録しています。その半分以上は業界未経験ですから、業界外で葬儀に興味をもつ方は十分いると思います。

    チュートリアル動画やサイン機能の実装へ

    白石 スマート葬儀を利用していただいていますが、そのなかで役に立っている部分、改善してほしい部分などがありましたらお聞かせください。

    宮地 特に便利なのは顧客管理です。当社はリピーターを重要視していますが、以前に施行された方からのリピートがあったとき、「スマート葬儀」のおかげでお客様への対応が格段に速くなりました。それから、担当別・場所別の売上げや粗利などが即座に確認できるので重宝しています。当社グループはいま、八王子のほかに東京都足立区(本社)、川崎市、千葉県柏市に事務所がありますから、各地域を簡単に見ることができるのは非常に便利です。

     改善してほしい点は特にありません。同時期にグループに新人2人が入ったとき、スマート葬儀の説明で私が川崎と柏に出向きました。その移動中に、「顧客登録のときは」「見積書のつくり方」のヘルプ画面を見ることができましたが、チュートリアル動画(わかりやすく解説する動画コンテンツ)を視聴できれば便利だと思いました。

    白石 実はここ2か月でご要望の動画をつくりました。ほぼ完成しています。さらに改良を重ねたうえで、スマート葬儀を導入されているお客様にわかりやすい動画が完成したと、近々告知できればと考えています。

    宮地 それはありがとうございます。あと、タブレットでのサイン機能(電子署名)があると助かりますね。

    白石 サイン機能は他社からも要望がありましたので、26年春ごろには実装できる予定です。

    将来的にはグループ単独で株式上場を目指す

    白石 貴社の展開エリアは特に移り変わりが激しいエリアではないかと思います。10年前と比べて、何が変化していると実感していますか。

    宮地 いちばん感じているのは、ネット仲介業者が出てきた頃よりも価格競争が激しくなっていることです。コロナ禍で多かった火葬式の割合が下がってきた代わりに家族葬がふえ、価格もオプション需要の高まりとともに、安さ一辺倒ではない価格競争に変わってきていると感じます。当社は、安易に簡素な葬儀を提供するのではなく、打合せ時の予算内で、ご遺族のお金をかけたいポイントをヒアリングし、「お客様主導」の葬儀を実現しています。

     価格競争だけの業界にしてはいけない。誰かが親の葬儀を簡素に済ませたら、その誰かを送る子どもも葬儀を簡素に済ませてしまう。そうした代々の慣習をつくってはいけないと思います。

    白石 最後に今後のビジョンを教えてください。

    宮地 壮大な話で言いますと、当社グループ単独で株式上場をしたい。それに向けて、M&Aが活発な時代を生き残っていく考えです。

     私は「買われることイコール会社の死ではない」と思っており、M&Aは即反対ではありません。ただし、それが従業員にとってプラスになればいいのですが、そうではないケースも少なくない。ですから、当社はいまのスタンスを変えずに、理想像に向けて頑張っていきたいですね。いま当社グループは一族経営のようになっているので、優秀な人間がどんどん活躍できるようにしたい。とにかくリピーターの確保を前提に、「うちの葬儀はこうだよ」とアピールしつつ、新規件数を上げていこうと考えています。

    白石 貴社のアピールの場として会館もふやしていくと。

    宮地 そうですね。グループ会社の日本典礼は、今年11月に柏に会館をオープンしました。柏の会館は当社の色を出すために更地から新設しましたが、居抜きも視野に入れていますし、それぞれの地域に合った形で展開できればと思っています。

    白石 本日はありがとうございました。

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