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【ハナブ商店×AgeRobotics】市営葬儀に特化し急成長~自社会館を開設しネクストステージへ~

公開日時:2026/4/24

  • 葬儀社対談

【葬儀DX対談】
岩本元彦氏[㈱ハナブ商店 代表取締役]
×白石和也氏[AgeRobotics㈱/LDT㈱ 代表取締役CEO]

AgeRobotics㈱は、葬祭業界に特化した顧客管理システム「スマート葬儀」や人材採用サービス「スマート葬儀ジョブ」の提供などで葬祭業界の活性化に貢献している。今回は同社CEOの白石和也氏が、大阪府茨木市を本拠とする㈱ハナブ商店・代表取締役の岩本元彦氏と対談した。青息吐息だった老舗葬儀社を茨木市営葬儀に特化した戦略で立て直して急成長。その経緯や、昨年オープンした自社会館などについて語った。

■存亡の危機のなか事業承継
市営葬儀特化の戦略で老舗葬儀社を復活

白石 岩本社長が事業承継されるまでの経緯を教えてください。

岩本 当社は創業130年を超える老舗葬儀社で、私が代表になるまでずっと同族で営んできました。それが1990年代半ばに先々代の社長が亡くなり、娘婿さんが後を継ぎ先代社長になりました。ところがこの方は前職がまったく畑違いだったこともあり、葬儀社の業務や営業方法に不慣れで、しだいにシェアを奪われていきました。それまでは年間360件程度施行していましたが、私が入社した99年当時は100件に届かないくらい、2013、14年は年間50件程度まで落ち込みました。そこで15年12月に先代社長が引退し、私が事業承継して法人化、㈱ハナブ商店となりました。事業承継する直前の15年の施行件数は35件。そこまで追い込まれていたのです。

白石 事業承継後、手はじめにどのような改革を行なったのでしょうか。

岩本 施行件数がほぼない状態からの再スタートでしたので、まずは依頼件数をふやさなければなりませんでした。ところが、資本金を入れても承継前からの負債などがあり、なかなか営業活動にお金を使えない。そこで手がけたのが紹介サイトとの提携でしたが、紹介サイトに登録したからといってすぐに仕事が入るというわけではありません。紹介サイト側と相談したところ、「地域柄、貴社のプランで取り組むのはむずかしい」「茨木市立斎場の併設式場を使った市営葬儀であれば、送客をしていただければ失注することはありません」と言われ、業務を市営葬儀に特化する方向に舵を切ったのです。結果、初年度の件数は年間100件、翌年は170件まで持ち直しました。そのうちの5~6割は紹介サイト経由でした。ところが、紹介サイト経由の売上げは新たな営業戦略に使うため、ほとんど内部留保せざるを得ませんでした。そういう意味で、最初の改革は「ハナブが生き返った」という事実を茨木市民に知らしめたことですね。具体的には、「老舗復活」という文言を打ち出したチラシを配布しました。

白石 その後、貴社は急成長を遂げるわけですが、その要因はどんなところにあるのでしょうか。

岩本 昨年11月に自社会館を建てるまでは市立斎場での葬儀(市営葬儀)が90%を超えていました。市営葬儀というと、自治体(茨木市)が主体のため、お客様に対するサービスのレベルがどうしても下がる。市が運営しているのでわれわれは物品を用意したら終わりのようなところがありました。それを当社は、たとえば火葬手続きでは「それまで市立斎場を使う際、喪主自身が市役所で手続きをしていたのを無料で代行する」「通夜・葬儀で市の職員さんが担当する司会をサポートする」「アフターサービスとして、香典返しからご位牌・仏壇まで総合的にサポートする」といった他社がやらないサービスをはじめました。市営葬儀において、葬儀だけでなく四十九日や一周忌などの法事までお手伝いをし、サービスの差別化を図ったのです。

■人材の効率活用を目標に地域ニーズ・需要に応える

白石 会館開設に踏み切った背景と理由を教えてください。

岩本 1つ目は、15年当時、地元に葬祭会館は5か所ほどしかなく、茨木市民は市立斎場での葬儀が中心でした。だからこそ「市営葬儀専門」と謳って市民に知られるようになったのですが、時が経つうちに、市外から進出してきた業者さんが会館を建てて、その周辺エリアの市民はその会館で葬儀をするようになりました。市立斎場は築約40年で今後さらに老朽化が進めば使えなくなってしまうかもしれない。そうなったときにも選んでもらえる葬儀社であるために、自社会館を建てようと決意しました。
 もう1つは、市立斎場を使っていての実感ですが、市営葬儀に満足せず、さらに上位のサービスプランを求めている方が少なくなく、そうした面で他社と差別化を図りたいという思いがありました。そこで、昨年11月に自社会館「LAST REPOSE いばらき」を開設したのです。

白石 LAST REPOSE いばらきの特徴を教えてください。コンビニエンスストアの転用とお聞きしましたが。

岩本 コンビニエンスストアであれば、どこでもよかったわけではありません。「遺体安置保冷庫をつくる」という構想があったので、都市部では大型といえるコンビニを選びました。今後、死亡数がふえていったときに、いま以上に火葬待ちがふえても対応できるよう、最大8体の安置ができ、会館で葬儀をされる方でも、市立斎場で葬儀をされる方でも、火葬式であっても預かれるようにしています。安置室から式場までの動線も、加盟する全葬連での研修会などで、全国の会館を見学し参考にしました。いわば「いいところ取り」です。立地的には、最寄り駅から離れていますが、幹線道路沿いのコンビニ跡地(210坪)なので駐車場も余裕がある。

さらに、人口、高齢者人口ともに多い市南部に位置し、今後の戦略が立てやすいことが決め手となりました。もう1つ、今後、就労人口が減っていくなかで、ワンオペも可能なホールづくりを心がけました。電動リフトを導入し、スタッフ1人でも棺台を搬送車にご乗棺ができるようにするなど、道具や設備にはしっかり投資しています。

白石 現在の経営上の課題や悩みを教えてください。

岩本 どこもそうですが、葬儀価格の低下や会葬者の減少などが懸念されます。それらの課題を解消しながら、その先に起こり得ることを常に想像して事業計画を立てています。いまの悩みとしてはやはり人財不足です。募集をかけても高齢者ばかりで若い人財が来ない。思うような人財をいかに確保するかが悩みの種です。

白石 なるほど。業界を問わず人財不足は課題ですね。最後に、今後の目標やビジョンなどをお伺いできますか。

岩本 まずはLAST REPOSE いばらきを地域住民に認知してもらうことですね。当社の施行件数は年間300件前後。今年は、自社会館での施行が150件、つまり市立斎

場と半々にしていくことが目標です。市営葬儀は市民の方々に浸透しているので、独自ブランドで施行件数を伸ばしていけるプロモーション戦略を考えています。いまのところ、1月からの3か月間で自社会館での施行が約35件、月当たりで約12件、これまで月約25件だった市営葬儀が10件台前半になってきているのですが、これからも当社は市営葬儀の推進業者ですので最終的には市営葬儀月20件、自社会館15件を目指しています。

白石 順調ですね。今後成長する葬儀社であるためにはどのような戦略が求められると思いますか。

岩本 戦略的な囲い込みとして、事前相談や葬儀依頼があったときに特典や割引が付いてくる会員制度が必要でしょう。約3年前から、全葬連のif共済会制度をはじめたのですが、3年間で入会された市民が400人近くになりました。今後、さらに充実させていくために、入会金に見合う優待サービスをきちんとお客様に説明できるよう社員研修をしているところです。

白石 お話を伺って、今後さらに成長していかれると感じております。当社も成長していく葬儀社さんを支援するため、AgeRoboticsの葬儀DXでは「スマート葬儀」、人材紹介では「スマート葬儀ジョブ」、LDT㈱の葬儀の送客では「やさしいお葬式」を展開しています。

岩本 人財不足のなかでどうやって効率よく回していくかは葬儀社の最大の悩みですから、スマート葬儀にとても興味があります。加えて、システムを導入しても、運用できる人財が社内にいるかという問題もあるので、スマート葬儀ジョブについてもぜひあらためてお話を伺いたいです。

白石 本日はありがとうございました。

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