公開日時:2026/3/17
葬儀社対談
人材採用
【システム導入事例対談】渡邊安之氏[㈱花安 代表取締役] × 白石和也氏[LDT㈱ 代表取締役CEO]
※この記事は月刊フューネラルビジネス2026年3月号の掲載内容を元に加筆修正した内容になります。
LDT㈱は、葬祭業界に特化した顧客管理システム「スマート葬儀」や人材プラットフォーム事業などエンディング領域で幅広く事業展開している。LDTの白石社長は今回、新潟県新発田市を本拠とする老舗葬儀社㈱花安の代表取締役・渡邊安之氏と対談。会社の沿革をはじめ、人材育成や評価プログラム、社員と共有する会社理念、現在取り組んでいる新規事業、今後の展望などについて伺った。
白石 400年の歴史がある貴社の概要を教えてください。
渡邊 初代の安兵衛は1598年、いまの石川県から溝口秀勝(1548~1610)公が移り住み、新発田藩の初代藩主となったときに一緒に付いてきた町人でした。造花をお城に納めていたので花屋安兵衛を名乗るようになったのが、「花安」の屋号のルーツです。私で十六代目になります。花安葬儀店を開業したのは十四代目に当たる祖父の時代、現在の本社である第1号会館「花安新発田斎場」をオープンしたのが1987年で十五代目の父の時代。89年に㈲花安葬祭として法人化しました。㈱花安新発田斎場への改組を経て、2023年6月、私の社長就任を機に㈱花安に商号変更。現在は新発田・聖籠エリアと新潟エリアに10会館を構え、昨年末には11会館目がオープン。年間の葬儀施行件数は今期が約610件、来期目標は700件です。
新規事業として観光施設の指定管理受託や空き家の活用、樹木葬、生花の内製化、クラフトビールのブルワリーなどにも取り組み、多角的に事業展開しています。とはいえ、中核は葬祭業で収益全体の約85%を占めています。
多角化・複合化を進めてきた結果、従業員は100人くらいになりましたが、一方で従業員1人ひとりに会社の理念が浸透しづらくなっていることが目下の課題と感じています。
そもそも十六代も続いてきたのは、過去の縁があるからで、いま展開している多角的な事業活動は未来の縁をつくっていく活動と位置づけています。そのために、当社は企業理念・ミッションとして「過去・現在・未来の縁を通じて、すべての人は豊かな人生を生きる」を掲げています。
この理念を、スタッフそしてお客様にも理解してもらえるレベルで見える化、発信していこうと考えています。
白石 貴社は従業員が自主的に考えて仕事をされていて、それが正当に評価される環境を整備されていると感じますが、どのような取組みをされていますか。
渡邊 私自身に「明日死ぬかもしれないから、死ぬときまで楽しく生きていきたい」という思いがあります。前職は私立高校の教員だったのですが、これもバレーボールと英語が好きだから「バレーボールと英語を楽しめる仕事」として選んだものでした。
「死ぬときに楽しい気持ちでいられたらいい」「仕事も楽しくなきゃいけない」「仕事で自分がやりたいことをやれるのがいちばん楽しい」という考えから、スタッフとの面談で「こういうことをやりたい」意欲を引き出すように意識しています。最初はスタッフの誰もが慣れなかったのですが、「ここまでやっていいんだ」と理解してくると、積極的に取り組んでくれるようになりました。たとえば、昨年末にオープンした「家族葬の花安 新潟弁天橋通り店」は、建築が得意なスタッフがすべて取り仕切ってくれました。
「こういう挑戦をしたい」と取り組んでもらうことで、任せられる人材を育てているといえるでしょう。評価については、育成型の評価プログラムを導入しています。そのスタッフが挑戦したいこと、成長したことについてポイントが付き、それで業績が上がればそれも付加されます。挑戦したいことが評価された人は給料もどんどん上がる。スタッフから「仕事が楽しいです」とよく聞くようになり、プログラムは成功だったと思います。
白石 素晴らしいですね。貴社の離職率が2%と業界平均からみて圧倒的に低いのも頷けます。従業員が自ら考える組織にするために、管理職があえてしないこととは。
渡邊 「手取り足取りにならないように」「転んでもらって、自分で起き上がってもらいましょう」ですかね。教員時代に「あの生徒の成績は俺が手取り足取り教えてやったおかげだ」と言う先生がいました。でも私は、「本人の成長の話で、手取り足取り教えることよりも、失敗しても立ち上がって自身で成長できる環境を整えるほうが大事だ」と思ったのです。あまり指示をせずに、「自分で考えて自分でどうするか」を引き出すようなやり方を心がけています。
白石 葬祭業は「心遣い」など数字ではみえにくい評価が少なくないですが、その点はどのようにされていますか。
渡邊 当社では行動指針・コアバリューとして、「感謝」「思いやりと誠実な心」「成長」「チームワーク」「責任と行動」の5つを掲げています。これはスタッフで決めたもので、社長である私が決めるより花安がこれまで何をしてきたか、社歴が長いスタッフが大事にしてきたことは何かを言語化したほうがいいと思ったからです。
ですから、当社ではこの行動指針にもとづいた理念行動ができているかを評価します。たとえば、「感謝」であれば「感謝を言葉で表現していますか」。「謙虚と成長」なら「ほかの人の成長を応援していますか」。こうした評価基準が15くらいあり、これにより当社のコアバリューを見える化しているという感じです。
白石 今後の展望を教えていただければと思います。
渡邊 当社では、地域密着型の複合企業、サービスインフラ企業を目指しています。
まず葬儀については、公共サービスとして誰もが葬儀というサービス商品にアクセスできなければいけないし、経済的に苦しい人の受け皿にもならなければならない
サービスインフラだということをしっかり意識していくのが大切と考えています。
また葬祭業は、マイナスからゼロまでしかいかない「不安解消のビジネス」でもあります。当社はその先、幸福度を高めるゼロからプラスの部分でも地域に貢献したいと考え、さまざまな新規事業に取り組んでいます。先にも話しましたが、地元の月岡温泉ではじめたクラフトビール醸造所「月岡ブルワリー」は、飲む人と人がつながるビールをつくること、飲んだ方々と月岡温泉がつながるきっかけをつくること、それを通して新発田を盛り上げることを使命としています。月岡温泉の湯の色にちなんだエメラルドグリーンが特徴の「TSUKIOKA EMERALD ALE」をはじめ、商品はすべて「TSUKIOKA」ブランドです。
私たちはこれからも、マイナスからゼロの部分と、ゼロからプラスの部分の2本軸で事業展開し地元で絶対的に必要とされる存在を目指します。葬祭業以外の事業で2/3を占めるくらいになるまで新規事業の芽を育てつつ、次の100年、500年の歴史を紡いでいきたいと思っています。
加えて、真の地域密着型企業とは、やはり「顔が見える」ことだと考えています。地域とのつながりの見える化、関係性をつくっていけるシステムなどがあれば、今後整備していきたいと考えています。
白石 そうした点で、私たちLDTは貢献できると考えます。「スマート葬儀」の提供や葬祭業界に特化した人材紹介サービス「スマート葬儀ジョブ」だけではなく、老人ホー
ムの入居者紹介事業や、介護業界の人材紹介事業にも進出しています。すでに複数の葬儀社様とアライアンスを組んでおりますので、貴社ともシナジーを発揮できる連携ができれば幸いです。介護事業との連携などについては、どうお考えですか。
渡邊 私たちも介護との連携はしていきたいのですが、なかなかむずかしい。「あそこの介護施設、葬儀までエスカレータになっているらしいよ」などと噂されては企業イメージがよくないですから。
でも、アフターフォローを含めた葬儀社と介護施設との連携ができたら、お客様にとってもよい話なのではないでしょうか。いま、グリーフケアの観点から遺族の方々にどうやってこれからの(故人抜きの)人生を過ごしていただくか、これも私たち葬儀社の仕事になってきました。そうした意味では、葬儀社と介護、あるいはホスピスなどとの連携という流れは大切ですし、逆にそれができないと、当社のような地元密着型の葬儀社の存在価値は示せなくなってしまうと思います。
白石 本日はありがとうございました。
葬儀オペレーションを、もっと効率化。
葬儀運営を、もっとスマートに。
葬儀管理システム・葬祭管理システムのクラウドサービスなら『スマート葬儀』。見積書作成・請求管理・施行業務・供花受注などを一元管理し、 葬儀オペレーションを効率化します。
シェアNo.1・導入600会館以上・月額1.9万円から。
サービスサイト
open_in_newCopyright 2026 AgeRobotics Co.,Ltd